「うちの会社も、そろそろWebマーケティングをやらないとかなって思っているんですよ」
私のクライアントには中小企業の経営をされている方も多く、このようなご相談をよくいただきます。
みなさん、BtoBビジネスにおけるマーケティングの重要性は理解しているものの、展示会やテレアポ、外回り営業での商談、DMといったアナログ的なセールスのスタイルを長く続けており、デジタルマーケティングに対する印象はあまりポジティブなものではないようです。
とはいえ時代の流れもあり、その重い腰を上げてみたものの、さて何から始めればよいのか……といったところでしょうか。
こんなご相談やお悩みを受けたとき、私が特に大切にしているのは、「デジタルマーケティングとは何か」をまず理解してもらうこと。
できる限りわかりやすく丁寧に、お話するようにしています。
というのも、みなさんが抱いている「従来のアナログマーケティングをベースに、Webサイトといったデジタル分野での対策を多少プラスしよう」という認識がすでに、これからのマーケティングの主流と大きくかけ離れてしまっているからなんです……!
以下の図を見てみましょう。
ご覧のとおり、かつては先述したようなアナログのマーケティングに、SNSやWeb広告、自社サイトのSEO対策といった、いわゆる「Webマーケティング」の一部がラップするかたちで存在していました。
しかし現在、デジタルとアナログのマーケティングは完全に一体化・連動しており、そこに明確な境界線はありません。「Webマーケティング」も、もはやデジタルマーケティングに内包されている一部の要素でしかないのです。
改めて説明しますと、「デジタルマーケティング」とはWebサイトやSNS、Webセミナー、さらにはMA(マーケティング・オートメーション)、SRM(カスタマー・リレーション・マネジメント)といった、あらゆるテクノロジーを活用したマーケティング全般を指しています。
国内の世帯におけるスマートフォンの保有割合が8割を超え、ビジネスの世界でもデジタルデータの活用やデータ分析による企業経営の高度化が進んでいる昨今、こうしたマーケティング手法の変遷は、当然の流れとも言えます。
デジタルマーケティングは、BtoBビジネスにおいてなくてはならい存在として、間違いなく主流になっていくでしょう。
【デジタルマーケティング……あらゆるテクノロジーを活用したマーケティング手法】
まずはこのマインドセットをしていただいた上で、ちょっと興味深いデータをご紹介します。
このグラフはイギリスの企業が実施した調査のデータで、消費者や企業が商品・サービスを購入する前に、ネットで事前調査をしている割合を示したものです。
ご覧のように、BtoBでは92%の企業が事前調査をしているという結果が出ました。
これはつまり、「92%もの企業が、商品・サービスを購入する前に、取引先の候補をある程度の数まで絞り込んでいる可能性がある」ということ。
BtoBの顧客開拓の手法はすでに大きく変化しており、もうアナログなやり方では、見込み顧客に出会うことすらできないのです。こちらから提案するチャンスすらないなんて、かなり衝撃的な内容ですよね……。
もちろん、顧客開拓におけるデジタルマーケティングの方法も数多くありますのでご安心を! それはまた別の機会に詳しくご紹介したいと思います。
私はセミナーなどでも、まずはこうしたマーケティングの実状をご説明するのですが、それでもなかなかアナログ時代の成功体験に裏付けされたスタイルから脱却できない方もいらっしゃいます。
「うちは展示会と商談に力を入れているから大丈夫!」
わが社の顧客はお付き合いも長く、心と心でつながっています」
「良い商品・サービスを提供していれば、お客様は自然とついてきてくれる」
その気持ち ……わかります!
人は自分でコントロールできない変化に対して不安を感じるものですし、できれば避けていきたいですよね。
社内全体がデジタルに対応していくことが、単純に面倒くさいという気持ちだってあると思います。
でももう、そんなアナログだと思っていたフィールドにさえ、デジタルテクノロジーは着実に浸透しているのです。
特定の個人に向けて言うことはありませんが、ここはコラムなのであえて厳しい言い方をさせていただきます。
――そんな寝言を言っている場合じゃないです。
――寝言は寝てからいいましょう(笑)
読んでいて気分を害されたらごめんないさい。でも日々デジタルマーケティングのコンテンツに触れている私からすると、本当にそのレベル感なのです。
「うちはWebが苦手なんだよね~」という言葉ですら、
「うちはもう、集客を諦めたんだよね~」
と言っているように聞こえてしまうのです。
たとえば展示会にしても、その在り方はすでに変わっています。
限られた時間で効率的に会場を回るため、来場前に興味のある商談ブースのアポイントメントをオンライン上で取得する企業が増えてきました。
当日は予約しておいたブースを回り、それ以外のブースについては、空いた時間でチラシや資料をもらう程度です。
またテレアポにしても、自動録音やAIによってアポ率の高い人が行っている会話の成功パターンを学習し、誰もが再現できるように提案してくれるシステムが存在します。しかも導入費用は月に数千~高くても数万円程度です。
これまでアナログでしかできないと思われていたアプローチ手法も、テクノロジーを活用することで質・効率ともにより向上しているのです。
そうなれば、今日創業した企業にさえ、一年後にはあっさり抜かれてしまうかもしれません。
彼らは同じ営業成果を、デジタルマーケティングを駆使して短期間のうちにわずかな労力でやってのけてしまうからです。
さて、あなたはどうしますか?
「デジタルマーケティングが重要なのはわかった。じゃあ何をすればいいの? サイトを作る? SNSアカウントを開設する?」
いやいや、ちょっとお待ちを。
WebサイトやSNSはあくまで手段の一つに過ぎません。
デジタルマーケティングは、もっと先にやるべき大切なことがあります。
次の記事では、その内容と理由を説明していきたいと思います。